旅するデザイナーブログ

Wandering_Designer’s blog

世界中どこを旅していてもきちんと働けることを目指して12年。今では好きな時に好きな場所で仕事をしています。しかし、皆が憧れるような「旅するような自由な時間」を持つどころか「いつでも仕事」「いつでも子育て」という状態で、息苦しい毎日。後回しにしていた「やりたいこと・言いたいこと」にも少し力を注いでみよう。それが健全な生活な第一歩かもしれない、と思い立ち、記録としてブログを始めてみることにしました。

世界的なフェアトレードも結構だけど、そもそも国内でフェアなトレードしてますか?

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フェアトレード」このワードを耳にすることが多くなりました。これは、途上国からの輸入に対して適正な価格と条件で取引する貿易のしくみを指すワードです。しかし「良いものを安く」を“ヨシ”とす日本国内は、似たような原因による問題に犯されていて、それが暮らしにくさに繋がっていると思えてなりません。

 

開発途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することにより、立場の弱い開発途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指す「貿易のしくみ」をいいます。

www.fairtrade-jp.org

 

フェアなトレードはフリーランスにとって死活問題

途上国だろうと日本国内だろうと、生産者の労働環境やきちんとした生活水準が保たれなければ、品質の良いものを作り続けていくことは不可能です。

これは「フリーランス・ママ・デザイナー」としても、自分ごとです。

本当に「フリーランスに頼むと安くできる」と考える人が多く、さらに「ママ」と付くともっと無理を言えると考えている人が多いのです。正にハイエナのように集まってきます。

フリーランスに依頼することで、中間マージンが不要な分、確かに安くなる場合はあります。しかし、そういう意味ではないのです。

フリーランス? 収入不安定で困ってるんでしょ? 安くやってよ。あなたも少しでもお金が入ればラッキーだし、ウチとしても安く買えるならうれしい。WINWINでしょ。』と、そういう意味なわけです。

さらに「ママ」が付くと、『普通のフリーランスより働ける時間も短いだろうし、より仕事を請けにくい状況だよね。困ってるよね?  あるだけありがたいでしょ? パパの稼ぎもあるんだし、安くても生活できるでしょ。だから、もっと安くやってよ』とそんな風なわけです。

最近は社員を持たず、フリーランスのリモート作業のメリットが唱われ始めています。そんな中、「ママフリーランスは、安く使える上に、仕事がきちんとしていて◎」なんて記事を見かけたりする状態。お褒め頂くのは結構ですが、仕事がきちんとしていて◎なら、きちんとお金を払ってください。

 

国際的なフェアトレードが叫ばれるのと同じ理由で、日本国内でも、安価すぎる仕事の発注が、制作側の労働環境や生活水準を乱し、健康を犯し、品質のよい商品を提供できなくなることに直結していることを、どれだけ認識できているのか?

認識できているけど、フリーランスを弱者(そもそも働き方の違いであり、どちらかが強者・弱者という考えは間違っている)とみなし、弱者に横暴となることもいとわない人とは付き合いたくないし、認識もできない想像力が欠けている人とも付き合いたくありません。

そういう横暴な人が多い社会。そして、無意識にそうしている人(想像力の無い人)が多い社会。それが日本。暮らしにくいはずです。

(私のようなフリーランスだけでなく、最低賃金のウエイターに高級料亭の接客を課したり、賃金の上乗せなく次々業務が増えるコンビニ店員にも言えると思っています。)

 

フリーランスに最低報酬設定は必要か?

上記問題から、多様な働き方促す政府はフリーランスに最低報酬設定を検討する立場を取っています。

www.nikkei.com

フェアトレードが大切だと、とやかく書きましたが、適正な価格と条件で取引することは、モラルの問題。私は最低報酬設定自体に、快く賛成はしていません。

確かに最低報酬が設定されれば、奴隷のように扱われているフリーランスを救うことがができるでしょう。しかし、サバイバルなフリーランスの世界で、戦略として「安価」という武器を使うことができなくなります。

最低報酬設定のある働き方であり営業戦略に枷がある働き方は、もはやフリーランスとは言えないように思えるのです。

最低賃金以下で請け負うことより、最低賃金以下で依頼してくることが問題です。「どの依頼主が何をいくらで依頼したか」が見える化され、積極的に発表される機会があれば、抑止力となるのでは、と考えてみたりします。

 

お願い:発注元および直請けの方へ

「いかに利益を生むか?」は資本主義である以上、重要なことです。しかし、当たり前のように値引き対応を求めるのではなく、右から左に流すだけで、無駄に中間マージンをとっている会社(きちんとディレクション/スケジュール管理してくれている中間は価値有りですが)を商流から外すことを注力してみてもらえませんか?何かあった場合の責任のなすり付け合いの為に、間に入る会社が多く必要だというのなら、しかたないのですが・・・。