旅するデザイナーブログ

Wandering_Designer’s blog

世界中どこを旅していてもきちんと働けることを目指して12年。今では好きな時に好きな場所で仕事をしています。しかし、皆が憧れるような「旅するような自由な時間」を持つどころか「いつでも仕事」「いつでも子育て」という状態で、息苦しい毎日。後回しにしていた「やりたいこと・言いたいこと」にも少し力を注いでみよう。それが健全な生活な第一歩かもしれない、と思い立ち、記録としてブログを始めてみることにしました。

クソ商品にデザインを提供するのは、もううんざり。

私は、フリーランスグラフィックデザインの仕事をしています。

グラフィックデザインの仕事って何?としばしば質問されることがあります。

簡単に説明するなら「モノやコトを、視覚的な要素(写真・絵・文字・色など)を使って表現し、相手に伝える仕事」とでも言いましょうか。具体的には、チラシ・看板・冊子・WEBデザイン、商品パッケージなどで、多岐に渡ります。

発信したいモノやコトがあるけれど、視覚的に発信する技術を持たない人(企業)へ、デザインを提供するのが私の仕事です。

 

しかし、只今私、仕事で受けるイライラダメージでオーバーヒート中。

何年もの間、あまりに中身のないクソ商品やサービスにデザインを提供し続けてきたからなのではと思っているところです・・・。

 

本来、グラフィックデザインは、モノやコトを正しく伝えるための手段ですが、最近は、商品やサービス自体に価値がない(薄い)ので、価値を持たせる(底上げする)手段としてデザインが使われることが多い気がします。こういう仕事は、私に精神的なダメージをボディーブローのようにじわじわ与えます。

 

価値を上乗せするためのデザインが増えた原因に、2つ心当たりがあります。

ひとつめは、大企業系の商品(車・電化製品・家など)は、技術がほぼ均一化してきており、イメージやデザインで差異をつけるしか商品に違いを出しにくくなってきていること。

ふたつめは、ITが身近になったこと・印刷費が安価になってきたこと・起業へのハードルが下がってきたことなどから、誰もが商品やサービスの提供側になれるようになり、安直な販売行動が多いこと。

 

特に2つ目の原因からは、目に余ることが多くあります。

 

「他との差別化を計りたいので、デザインをお願いします」

・・・当たり前のように言う方が多いですが、そもそも他と差別化できる商品を作ったり、売ったりしてください。

仕入元が同じで、売る人が違う。売り方が違う。だから見た目も違うけれど、中身は同じが多すぎる。簡単に手に入れて、簡単に転売する商法が多すぎる。

 

「イメージ戦略に力をいれたい」

・・・いやいや、中身で勝負してください。

価値の薄い(あるいは無い)商品をデザインで着飾らせて、世に送り出す。そればっかりなんですよ。なんでもかんでもデザインで解決しようとしないでください。

作っている私もイライラしますが、一消費者としての私も、そいうい商品に囲まれていると思うと寒気がします。

 

 「“伝え方(コピー・文章)”と“見せ方(デザイン)”を工夫して売り上げ増したい」

・・・確かに。魅力ある文章とデザインで商品を説明するのは、重要です。

本当に価値あるものでも、きちんと正しく伝えなければ価値は伝わらないし、適切に発信して、情報をきちんと受け取ってもらえなければ、無いものも同然。だから私みたいな職業があるのだと思っています。

でもね・・・クソ商品に無理矢理価値とかブランドとか付けて、詐欺ギリギリの線での、過大広告はやめてください。

最近はブランド化のために商品にストーリーを組み込ませて魅せるのが流行ってるけれど、本当に良い商品というのは、本当にそれ自体にストーリーがあるものなんです。変なコンサルが入って、それっぽいストーリーを作ったりしなくてもね。

昔からある安っぽい「貴方だけ商法」「限定商法」「地域一番商法」「予約が取れにくい店商法」も未だ不滅。どうして、商品自体で勝負しようするところがこんなにも少ないのか・・・。

 

そして、最近は、広告で使用する文章のチェックが消費者庁的に厳しくなっているので、それを補うためのデザインを求めるところも多い。例えば、美容系だと「効果有り」とは書けず、「効果が期待出来ます」とか「個人の主観です」とか、逃げのある文章表現になるわけだけれど、「効果あり」と見られたいがため、グラフィックデザイン(絵)で「効果あり」の表現を求めるということ。

だ〜か〜ら〜。そもそも、文章表現のチェックが厳しくなったのって、受け手にあらぬ期待をかけ、実効果との差異が問題になった(ある意味「詐欺」だった)からで、文字で書けない分、今度はグラフィックでなんとかしようというのは、どんだけせこいんですか?(そいうせこさが「賢い工夫」的に扱われてたりもする。)

 

さらには、クソ商品を扱うところはデザイン費を買い叩いてくる傾向有り・・・いやいやいやいや、あなたの扱うクソ商品にデザインで価値が付いて売り上げが上がったのだから、それって完全にデザインの価値ですよね。逆にもっと支払ってください。

まぁ、クソ商品を扱おうという心根ですから、安く手に入れて高く売ることが最重要なのでしょう。目的のために手段を選ばず。ある意味大切です。商品の価値やデザインがとやかくより、もっと大切なことがあるのでしょう。

胡散臭さを感じながら、胡散臭くないデザインを作る私。

只今、イライラダメージが溜まってオーバーヒート中デス。